TO BE A NATIVE JAPANESE
ネイティブであること
あるいは日本史を越える試み
北山耕平
アメリカ・インディアンと呼ばれてきた人
たちの語るそれぞれさまざまに異なる一族の
歴史を聞いているうちに、わたしたちと彼ら
の距離が、同じモンゴロイドでありながら、
ずいぶん離れてしまっていることに気がつい
た。彼らといるとわたしは、人間はひとりひ
とりがはるか太古にさかのぼる歴史の記憶を
自分のなかに持っているということを、素直
に信じられる。歴史を文字にすることを彼ら
がかたくなに拒んできた理由は、歴史が生き
ものであり、それを生かし続けるために何度
も何度も語られ、そして語られるたびに新た
な生命を吹き込まれてそれが再生することを、
深いところで知っていることによる。そうし
た、自分がどこで母なる地球とつながってい
るかをはっきりと思い出させるような、生き
ている歴史の記憶を、わたしたち日本人は持っ
ていない。漢字という中国の文字で記された
古い歴史書があるのみである。それ以前の石
が話をし、草が話していた時代の歴史の記憶
は、きれいに消し去られてしまっている。わ
たしたちのネイティブとしての根は、母なる
地球から、いつどうやって引き抜かれてしまっ
たのか。もういちど母なる地球のネイティブ
に戻る道を探求する。パーソナル・ヒストリ
ーとしての日本史から、トランスパーソナル・
ヒストリーとしての日本列島史への、時空を
越える旅のすすめ。
北山耕平(きたやまこうへい)
1949年生まれ。作家、翻訳家、編集者。立教大学社会学部卒。
70年代後半に、ネバダ州の砂漠のなかで、ウエスタン・ショショ
ーニ・ネーションのメディスンマンであるローリング・サンダーと
出会ったことがきっかけで、アメリカ先住民族の口頭伝承の歴史お
よびその生き方を学びはじめる。80年代後半から、日本列島先住
民族史の復元に挑戦している。著書に『ネイティブ・マインド』
(地湧社)訳書に『ローリング・サンダー』(平河出版社)『レイ
ム・ディアー』(河出書房新社)などがある。
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